金正男氏暗殺事件の事実が続々と明るみに出てきた。
マレーシア空港内の防犯カメラの映像により次第に事件の背後が見えてきた。
犯行の様子を詳細に説明すると
警護をつけることなく一人でクアラルンプール国際空港内へ現れる正男氏、その後二人の女が、、、そのうちの一人の女が背後から近寄り素手で正男氏の顔に何かを塗りつけ逃走。その後正男氏は空港職員の案内にて空港内の医務室に案内され、待合室のソファの上で、崩れ落ちた。
Contents
白昼堂々と行われた犯行、実行犯の二人の女性
ベトナム国籍 ドアン・ティ・フォン容疑者(28)
インドネシア国籍 シティ・アイシャ容疑者(25)
女スパイと言われれる二人は「いたずら番組と言われてやった。」と供述していたが、マレーシア当局は彼女達は計画的な犯行で彼女達は訓練されているとして捜査を継続している。
また、2月22日に行われたマレーシア警察の発表によると、国外逃亡中の四人の容疑者(いずれも北朝鮮国籍の男性)以外に重要参考人が3人いると特定し、その内の2名は北朝鮮大使館 第二等書記官 ヒョン・グァンソン氏(44)と北朝鮮国営空港『高麗航空』職員 キム・ウクイル氏(37)と発表した。
死因については遺体の眼の粘膜と顔から神経性の猛毒ガス、VXガスが検出された。
しかし、遺体の身元については未だに断定されていない。
これに対し、北朝鮮大使館は殺されたのはキム・チョルという北朝鮮国籍の男性で死因は心臓麻痺であり、早急の遺体の引き渡しを要請しており、マレーシア警察の捜査内容を強く非難している。
26日には北朝鮮でこの事件を、金正男氏の名前には触れず
「マレーシアで我が国の旅券を持つ男性が突然ショック状態になり死亡した(朝鮮中央通信)」と国内向けに発表された。
さらにはこの事件は韓国政府による陰謀説であると反発を強めている。
事件に使用されたVXガスとは
神経性の伝達機能に作用し筋肉の正常な動きを出来なくする化学兵器。
症状としては『けいれん、呼吸困難、瞳孔の収縮』を起こし、呼吸器からだけでなく皮膚からも吸収され、数ミリグラムで大人の致死量に達する
もともと北朝鮮は化学兵器の保有量は世界有数といわれており、今回使用された薬剤の特定までに時間がかかったのはマレーシアはVXガスを持っておらず、海外の保有国からサンプルを取り寄せる必要があった為と見られている。
このVXガスはオウム真理教が製造し、殺害を行っていたことで記憶にある方もいるのではないだろうか。
VXガスは非常に毒性が強く、製造するのも難しいとされている。
ガスと言っても、揮発性のない油のような液体。
1958年、イギリスで開発され、開発を望んでいたアメリカから交換条件で提示されたのが水素爆弾。つまり元々は、核兵器に匹敵するほど作るのが難しく、毒性が強く化学兵器として期待されていた毒物である。
しかし、一旦製造技術が伝わってしまった今となっては技術がどんどん流れていき、数カ国が保有国している状況。
粘性が強く揮発性は少ないとこから、手に付着した場合水で洗っても落ちず、効果は1週間程度続く。
犯行に女スパイが二人必要だったのは訳がある!
アメリカの研究者が25日に発表した見解によると、今回猛毒の実行犯の女性たちが素手でVXガスを触っていたことから、バイナール方式(2液混合方式)と言われる製法を用いた可能性が高い。
つまり、女性二人たちが持っていた液体はそれぞれ別々の薬物であり、顔の表面で2液を混ぜることにより毒性が一気に増すように設計されたものである。
正しく顔の表面で混合されていれば、本来は1分程度で意識が混濁し何も話せなくなり、そのまま亡くなるように設計されたはずだが、今回の女性二人は犯行に不慣れだったために、正男氏とみられる男性は犯行状況を説明し、亡くなるまでに20分かかっている。
このバイナール方式、まだ開発中の技術であり、一体顔の表面でどのような事が起こったのは明らかになっていない。
超軍事技術で軍が関与している可能性が非常に高く、犯人が北朝鮮によるものとすれば、一瞬で北朝鮮の国籍のキムチョルという男性を殺害し、犯行を心臓発作か何かに見せかけ、速やかな遺体の引き渡しを行うシナリオを描いていたはずだ。
実際にシナリオ通りにいけば、10年も20年も先まで金正男氏はどこかで生きているように偽装できていたはずだが、シナリオ通りにはいかなかった。
金正男犯行に及んだ容疑者の現在
すでに逮捕された容疑者(ベトナム人女性、インドネシア女性、北朝鮮国籍の男性)、出国済みの北朝鮮国籍の容疑者4人(いずれも男性)、重要参考人の北朝鮮国籍男性3名(前述の大使館第二等書記官、高麗航空職員含む)、マレーシア人男性1名拘束。
この状況から非常に大掛かりな暗殺計画だった事が見えてくる。
北朝鮮大使館の第2等書記官と国営高麗航空の職員の関与した事件となれば、北朝鮮による国家犯罪だった可能性が非常に高い。
また、北朝鮮大使館の第2等書記官は今回の暗殺計画に関するすべての手配と統括と報告を行い、高麗空港職員は29日にマレーシアに北朝鮮籍の4人の容疑者より先立って入国し、犯行後は彼らの逃亡ルートを確保したという見方が強まっている。
(マレーシア〜インドネシア〜UAE〜ウラジオストク〜平壌:ウラジオストクから平壌までは高麗空港を利用)
今回の事件を指揮していたとされる北朝鮮大使館の第2等書記官はウィーン条約に基づく免責特権で逮捕できない。
高麗航空は民間航空機にも関わらず、過去にミサイルや武器のパーツを中東に運んでいたことより、空軍軍司令部の傘下であるとアメリカや韓国はみなしており制裁の対象となっている。
金正男の母国『北朝鮮』の孤立化が進む
今回の金正男暗殺事件による各国の制裁をまとめてみた。
- 中国 石炭の輸入停止(2/18)
- ロシア ヘリ・船舶の売却禁止、鉱物資源の輸入禁止を検討(2/22)
- 日本 経済制裁
- 韓国 金融制裁
北朝鮮は東南アジア諸国には良好な関係の国が多かったが、暗殺のためにインドネシア人、ベトナム人を使い、マレーシアにて暗殺を行ったことで今後はより孤立していくものと見られる。
対立する韓国でも金正男氏とみられる男性が殺害された事を伝える宣伝放送を北朝鮮に向け放送開始したと言われており、韓国との関係も目が離せない。
北朝鮮トップの金正恩の現在の状況は?
2月14日に犯行が行われ事件の翌日の2月15日に開催された『故金正日総書記生誕75周年を祝う中央報告大会』では、とてもおめでたい席であるにも関わらず、金正恩は終始苛立った不機嫌な表情であったと報じられている。
父親の誕生日直前に兄を殺してしまったことへの後ろめたさ、完全犯罪のつもりが失敗したことへの苛立ち(もし金正恩が関わっていないとすれば)
この苛立った不機嫌な表情はいずれから来るものなのか。。。
まとめ
2月14日に世界中が注目した金正男暗殺事件。
事件から早くも二週間が経とうとしているが、まだ謎の多い事件でもある。
現在までに、事情通ナビが把握していることを当記事ではまとめ。
3月には米韓軍事共同演習を控える中で、反発し孤立化を強める北朝鮮からも何からの動きが出てくるものと見られるとの予想だ。
関連記事
今回襲われたのは金正男の影武者説が浮上!刺青から真相を紐解く
金正男の犯行に及んだ女スパイの素性と金正男のこれまでの生い立ち
金正恩が正男または影武者暗殺に関わっているとしても、なぜ金正日誕生日とされる日にち前後に犯行を起こしたのか理解できない。